第56回日本文化人類学会研究大会 研究倫理委員会特別シンポジウム

『アイヌ民族に関する研究倫理指針(案)』から考える、文化人類学の過去と未来にむけての展望

趣旨説明

 日本文化人類学会では第27期松田素二会長時からの課題として、第28期・第29期の4年以上にわたり、倫理委員会内にアイヌ研究特別小委員会を設けてきた。そこでは太田好信、窪田幸子らを中心に、4学協会(日本人類学会、日本考古学協会、北海道アイヌ協会、日本文化人類学会)で「アイヌ民族に関する研究倫理指針(案)」の形成へ協力してきた。だが今回この試み自体が問いにさらされる機会があり、ここには人類学と先住民、人類学と植民地主義、人類学者の学的歴史責任、あるべき人類学調査倫理といった問題が凝集している。そこで倫理委員会としては学会員ひとりひとりが本問題に関与することを経ずして日本文化人類学会の成熟は見込めないと判断し、学会全体で議論する第一弾として本特別シンポジウムを開催する。

 

【挨拶】日本文化人類学会会長

【司会】真島一郎(東京外国語大学)

【発題1】太田好信(九州大学:「アイヌ民族研究倫理指針(案)」までの道のり

【発題2】松田素二(総合地球環境研究所):「アイヌ民族研究倫理指針(案)」における議論から見えてきたもの

【発題3】窪田幸子(芦屋大学):日本文化人類学会の未来にむけて

  

この第1回シンポジウムでは、2018年から始まった北海道アイヌ協会、日本人類学会、日本考古学協会と日本文化人類学会の4学協会による「アイヌ民族に関する研究倫理指針(案)」の策定をてがかりに、文化人類学が先住民の調査研究とどう向き合い、何をなすべきかを考えることを目的としている。今回は検討委員会の委員である二名と文化人類学会前会長の三名が報告を担当する。

 

 太田好信の第一報告は、日本文化人類学会が研究を社会的行為と位置づけ、アイヌ民族との関係をどう捉えてきたか、何が課題として浮かび上がってきたかを明らかにする。松田素二と第二報告は、今行われている研究倫理指針をめぐる検討作業の中で文化人類学会がより深く考えて定めるべき原則と方向性について説明する。窪田幸子の第三報告では、第一報告と第二報告を踏まえて、海外の文化人類学会がこの問題にどのように取り組み、先住民の権利に対して国家や研究者がどのように向き合っているのかを明らかにすることで、日本文化人類学会のこれからの方向性を展望する。

 

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1.太田好信「「アイヌ民族に関する研究倫理指針(案)」までの道のり」.pdf
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2.松田素二「「アイヌ民族研究倫理指針(案)」における議論から見えてきたもの」.
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3.窪田幸子「文化人類学会の未来に向けて」(ウェブサイト用).pdf
PDFファイル 1.0 MB

 

 

【コメント1】加藤博文(北海道大学)

【コメント2】岸上伸啓(国立民族学博物館)

【コメント3】瀬口典子(九州大学)

 

*本倫理委員会特別研究シンポジウムは、パブリックコメント等での意見や4学協会の動向を受け、日本文化人類学会会員の熟議のために企画開催されたものです。閲覧希望がある場合には倫理委員会で検討の上、返答させていただきます。お名前と所属団体名、閲覧希望の理由、および照会できる文化人類学会員の御名前を書いて kyushu.comparative.religion[a]gmail.com ([a]を@に変換) まで「倫理委員会特別シンポジウム閲覧」のタイトルでお知らせください。照会できる学会員の方がいらっしゃらない場合も上記のメールアドレスまでお声がけいただければやり方を検討いたします。返信には1週間程度お待たせすることがございますのでご了解くださいませ。(2023年6月まで閲覧希望を受けつけます)

 

以下のリンクまたはQRコードから、倫理委員会特別シンポジウムへのアンケートにご協力ください。

※シンポジウム終了後にご回答ください。

 

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